オークラウロを演奏する大倉喜七郎 1936年
オークラウロはホテルオークラの創業者として知られる男爵・大倉喜七郎が、自ら愛好した尺八の音色で西洋音楽を演奏するために、1935年に考案・制作した金属製の多孔尺八です。大倉の名前と、古代ギリシアの縦笛アウロスaulosから名付けられました。当時は奏者の養成や楽団による定期演奏会などが盛んに行われましたが、戦後の財閥解体により大倉家のバックアップが難しくなると、演奏の機会が激減し、長らく忘れられた幻の楽器となっていました。
2011年、喜七郎の五十回忌を前にオークラウロの再生に向けた活動が始まり、コンサートやCD発売、楽器の再製作などを通じて、尺八の表現力とフルートの明るくクリアな音色を併せ持つ、和魂洋才のハイブリッドな魅力が今再び注目を集めるようになっています。